紫波町視察② エコハウス賃貸「グッドデイ日詰」~その2~
2026/02/24
前回のブログで、岩手県紫波町のエコハウス賃貸住宅「グッドデイ日詰」を視察してきたことを書きました。
今回はその続きです。
本物件は単なる「高性能住宅」ではなく、性能・デザイン・コストの最適解を探った建築である点に大きな価値があると感じました。
高断熱・高気密という“見えない価値”
まず注目すべきは断熱・気密性能です。
・天井:断熱材400mm
・壁:断熱材300mm
・床:基礎断熱100mm
・C値:0.4
・断熱等級6相当
一般的な賃貸住宅よりもワンランク上の仕様です。
当然ながら、こうした性能を確保するためには初期コストが増えます。
概算では80〜100万円ほどの増額が想定されます。
しかし、ここで大切なのは「建てた後」の話です。
光熱費削減というランニングメリット
高断熱・高気密化により、
・暖房エネルギーを約30〜50%削減
・小さな暖房設備で家全体を暖めることが可能
・結露リスクの低減
といった効果が期待できます。
例えば年間暖房費が18万円かかる住宅の場合、
性能向上により年間6〜9万円程度の削減が見込めます。
初期増額を80万円と仮定すると、
約9〜13年で回収できる計算になります。
これは光熱費だけの試算ですので、
・空室リスクの低減
・家賃の安定維持
・修繕費の抑制
まで含めると、実際の効果はさらに大きくなります。
「設備に頼らない家」という考え方
この住戸では、暖房はペレットストーブ1台のみです。
通常であれば各室エアコンや大型設備が必要になりますが、躯体性能が高いため最小限の設備で成立しています。
設備は10〜15年で更新が必要ですが、断熱性能は基本的に半永久的に機能します。
つまり、
・設備中心の住宅=将来の更新コストがかかる
・性能中心の住宅=資産として積み上がる
という違いがあります。
これは長期的に見ると非常に大きな差になります。
デザインがもたらす経営メリット
外観は県産材を活かした木質ファサード。
景観ルールの中で調和しながら、しっかりと印象に残る佇まいです。
実際に入居者の多くは、
「外観が素敵だったから決めました」
とお話しされているとのことです。
賃貸経営において、空室は最大の損失です。
家賃10万円の場合、1ヶ月空けば10万円の機会損失になります。
デザインは単なる“見た目”ではなく、
空室リスクを抑える経営戦略でもあります。
将来価値を見据えた設計
今後、省エネ基準は確実に引き上げられていきます。
性能の低い建物は、将来的に賃料下落や改修コスト増加のリスクを抱える可能性があります。
一方で、断熱等級6相当の本物件は、将来基準にも十分対応できる水準です。
つまり、未来のリスクを先に織り込んだ設計とも言えるのではないでしょうか。
視察を通して感じたこと
今回の視察で強く感じたのは、「高性能住宅はコストではなく、思想である」ということです。
単に断熱材を厚くする、気密を高める、という話ではありません。
住まい手の快適性を守り、オーナーの経営を安定させ、そして将来の社会的基準にも対応していく。その一つひとつを丁寧に積み重ねた結果が、この建物なのだと思います。
これからの賃貸住宅は、
「安く建てる」時代から「価値をつくり、価値を守る」時代へ
と確実に移行していくでしょう。
「グッドデイ日詰」は、その方向性を示す一つの答えであり、私自身にとっても多くの学びを得られた視察となりました。
皆様の家づくりのヒントになれば幸いです。
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